そもそも、「特定商品取引法」は、事業者による違法で悪質の勧誘行為等を防止することで、消費者を守ることを目的とした法律です。この法律は、企業が消費者と販売行為を行う際にトラブルになりやすい販売類型をピックアップし、トラブルを防止するために事業者が守るべきルールなどを定めています。
特定商品取引法の規制の対象となる販売態様としては、「訪問販売」、「通信販売」、「電話勧誘販売」、「連鎖販売取引」、「特定継続的役務提供」、「訪問販売」です。ECサイト運用において問題となるのは、この中でも「通信販売」ですので、今回はこれに的を絞って解説致します。
特定商品取引法において通信販売の規定は11条以下に書かれており、11条には、通信販売において、表示しなければならない事項について規定されています。
まず、「販売価格又は役務対価」(特定商品取引法(以下略)11条1号)です。これは、ECサイトなどで販売する商品の価格や、なにかサービスを提供する場合には役務の価格を表示しなければなりません。この価格は、定価や希望小売価格ではダメで、実売価格を表示する必要があります。
次に、「代金又は役務の対価の支払の時期及び方法」(11条2号)です。代金を支払う必要がある場合に、前払いなのか後払いなのか、代引きなのかを明記する必要があります。「入金確認後、2日以内に商品を発送致します。」などのように記載するとよいでしょう。また、支払の方法としては、クレジットカード決裁や、銀行振込みなどの方法から選択し、明記することになります。
「商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期」(11条3号)を明記する必要があります。商品がどれくらいの期間で購入者に届くのかは、購入者にとって重要な事項ですので、これを明記する必要もあります。
「申込みの撤回又は売買契約の解除に関する事項」(11条4号)も必要です。購入者が誤って購入してしまった場合などに、いつまでなら申込みを撤回することができるのか、解除することができるのかなどを記載する必要があります。
「主務省令で定める事項」(11条5号)として、商品の送料についても明記する必要があります。購入者が商品の代金以外で送料を負担する必要がある場合、これも明記します。また、主務省令で定められるものとして、事業者情報を記載しましょう。ECサイトの場合、購入者は販売者のことを知る機会が少ないといえます。そこで、これを明記して、事業者の最低限の情報を提供することが大切です。さらに、「申込みの有効期限」や「欠陥があった場合の対応」、「特別の販売条件」などが事業者側にある場合には記載する必要があります。
以上のような表示をすることを特定商品取引法では定めていますが、基本的には、申込みボタンの近くに、「特定商品取引法の表示」という文字を記載し、上記事項が記載されたページリンクに飛べるようにされることが多いです。
ECサイト運用によって、多くの人が自分に合った事業を行うことができるようになった時代ですが、それと同時に法規制にも気をつける必要があります。そこで、法律のプロフェッショナルである弁護士と協力してECサイトを運用することも1つの手段といえます。
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