時効という言葉を聞いたことはあるが、詳しい制度については知らないという相談をよくいただきます。
本ページでは時効の基本的な制度について詳しく解説していきます。
◆売掛金とは
まず、タイトルの売掛金について軽く説明をしたいと思います。
普通の売買契約は、商品の引き渡しと代金の支払いが同時に行われることが当然の理解とされています。
しかしながら、契約とはさまざまな形態で行われるものであり、月に必要な分の在庫を一気に仕入れて、月末や翌月にその代金を支払うということもあります。
この時に発生する代金債権を売掛金と呼びます。
このような取引は企業間で行われることが多くなっており、債務を負っている側の企業が倒産の危機に瀕したことにより、支払いを踏み倒されてしまうということが起こり得ます。こうした事例において、時効が深く関わってきます。
◆時効とは
民法の規定する時効には、取得時効と消滅時効の2種類があります。
今回で問題となるのは、消滅時効であるため、消滅時効について詳しく解説をしていきます。
消滅時効は民法166条に規定されています。
債権が時効によって消滅する場合は2パターンあります。
①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき
②権利を行使することができる時から10年間行使しないとき
となっています。
①は債権者の主観的な期間であり、②は客観的な期間となっています。
上記の期間が経過することで、債権が消滅するため、相手方に履行を求めることができなくなります。
◆時効を成立させない方法はある?
時効は一度進行を始めてしまうと、成立を止める手段はないのかというご質問をいただきます。
時効には、完成猶予と更新という概念があり、時効の期間の経過を一時的に中断させたり、新たに時効を進行させるということができます。
・時効の完成猶予
時効の完成猶予については民法147条、148条、149条、150条、151条にそれぞれ定められています。
147条は、裁判上の請求や支払督促をすることによって、時効の進行を6ヶ月間猶予させることができる旨を規定しています。
148条、149条ではそれぞれ強制執行や仮差押により相手方の財産に前記いずれかの処分を行うことによって、6ヶ月間時効完成を猶予させることができるとしています。
150条は催告をすることで、6ヶ月間時効の完成を猶予させるものとなっています。
151条は債権についての協議を行う旨が書面で合意された場合に、状況に応じて時効の完成が猶予されると規定しています。
・時効の更新
時効の更新は147条、148条、152条に規定がされています。
147条と148条については、先ほど説明した時効の完成を猶予させる事由が生じた際に、それらの事由が確定及び終了した場合に、新たに時効がスタートするというものとなっています。
152条は、債務者が権利の承認をした場合に、新たに時効がスタートするというものです。
承認は相手に支払いの催促をするだけでは承認されたとはされないため、注意が必要です。
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