債権は持っているだけでは満足を得られるとは限らず、自ら期日を把握し債務の弁済を促すなど、債権を管理・回収することが満足を得るには安全であるといえるでしょう。そして、債務者が期日に債務を弁済すれば基本的には問題はないのですが、期日になっても弁済がない場合に、これを一定期間放置してしまうと債権が消滅してしまうことがあります。
このように、債権が消滅しないように債権の管理や回収をする際に気を付けなければならないことの一つとして、消滅時効というものがあります。消滅時効とは、権利を行使しない状態が一定期間経過すると権利の消滅という効果が発生する制度のことを言い、時効が完成するまでの期間については、不法行為による損害賠償請求権については民法724条や民法724条の2が、それ以外については、種類ごとに民法166条以下が規定しています。
もっとも、中断や停止という、時効の効果発生を妨げる制度も民法上には規定があります。中断とは、時効の進行中に時効の基礎となった事情を覆すような事由が発生した場合に、それまでに経過した期間を無意味にすることを言い、中断事由は民法147条以下に規定されています。そして、停止とは、時効の完成時において時効の中断措置をとることが困難と認められる事由がある場合に、時効の完成を一定期間猶予することを言い、停止事由は、民法158条以下に規定されています。
なお、平成32年4月1日から有効となる改正民法では、消滅時効が完成するまでに必要な期間について規定している166条以下が改正されたため期間について変更があり、また、中断と停止はそれぞれ更新と完成猶予という様に名称が変わっており、事由についても対応条文が改正されたため変更されているため、注意が必要です。